継

殺人者たちの継のレビュー・感想・評価

殺人者たち(1964年製作の映画)
4.8
時間が無い、時間が足りない.
時は見る間に 過ぎ去って行く... (劇中歌 “too little time” 歌詞)

ギャングの金を持ち逃げした元レーサー, ジョニー
その殺害を依頼され 任務を果たした殺し屋2人
だが逃げもせず撃ち殺されたジョニーを不審に思ったチャーリー(マーヴィン)は
相棒リーを引き連れジョニーの過去と消えた大金の行方を追う.


ヒリヒリする幕引きに目が釘付けとなるクライムムービー。

劇中で歌われる「too little time」に加え, リー・マーヴィンのパケ写真↑までも伏線とし, “そういう事だったのか...” と回収するラストが堪らない。
こういう場面を観たくて映画を観てるんだよなと実感させてくれる、
'64年,ドン・シーゲル作品。


ジョニーの過去と金をめぐり, 探偵さながらに真相を追う殺し屋2人.
老練で硬派なチャーリーと, 反対に若く軽妙なリーのコンビがいい。
そのリーに悪戯にツマミをいじられ, 加湿Maxの蒸し風呂から顔だけ出して回想を強いられる汗だくのミッキーは不憫(笑)だったけれど、

そんな湿気や情感を徹底的に排してストーリーはヒリヒリと渇いたまま突っ走る。
フルマークじゃないのは, 回想がシケインのようにストーリーのスピードを奪ってしまっているから。
冒頭とラストが素晴らしいだけに今観ると余計なブレーキングに感じられ, 緩急より間延びに思えてしまうのだ。
時には縁石に乗り上げショートカットし, テンポを落とさぬままコチラにその間のルートを想像さす荒々しいドライビングこそ, 今作には相応しかった気がする。

ただ, 今作が元々TV放映を想定して撮られた事を鑑(かんが)みれば ロマンスの馴れ初めに時間を割くのは必須だったかもしれず,
あるプロットが不幸にも直後に起きた大事件と重なって放映が叶わず, このまま劇場公開へ変更となったのはシーゲルにとって不本意だったのかもしれない。
この辺り, 最初から(TVより観客が限定される)映画として撮っていたなら… と, 想像せずにいられない。

リー・マーヴィンの実声+字幕も良いけれど, まだ若く滑舌にキレがある小林清志(「ルパン三世」次元大介の声優)の吹替えも雰囲気に合って, 峰不二子のようなシーラへ邪険に当たる関係性がニヤリとさせる( ̄ー ̄)ニヤリ
継