クルーギャラガーがおもむろに椅子から立ち上がりアンジーディキンソンをぶん殴る瞬間に挿入される手持ちショットの生々しさがすごい。
相棒と昼飯にステーキを食うリーマービンが指先で白ワインを揺すり続けるも口にすることなく終わるという光景は「時間の円滑な流れから鬱陶しい環境へと変容を遂げていく」その後のフイルムグラフィーを思わせもするし、実際この終盤では負傷したマービンが標的の家の前に車を停め、あえて下向きに据えられたカメラのフレームに映りこむまで足を引きずって来ねばならぬショット内の時間の停滞とその革靴の上にしたたり落ちてくる鮮血という不吉な液体を露呈させるカットへ結実している