デニロ

殺人者たちのデニロのレビュー・感想・評価

殺人者たち(1964年製作の映画)
3.5
1964年製作。原作アーネスト・ヘミングウェイ。脚色ジーン・L・クーン。監督ドン・シーゲル。同じ原作の1946年製作『殺人者』の翻案。

盲学校の講師ジョン・カサベテス/ジョニー殺害に出向くリー・マービン/チャーリーとクルー・ギャラガー/リー。学内を傍若無人に振舞ったあげく標的のジョニーを難なく仕留める。報酬は25,000ドル。チャーリーは思う。こんな簡単な殺しにしては報酬が高すぎる。何かある。調べよう。そんな風にかんがえるものだろうかとは思うのだが。

つらつらと調べているとアンジー・ディキンソン/シーラという女に行き当たる。シーラにメロメロになったジョニーは彼女に誘われるままに郵便車強盗に参加する。ジョニーは腕利きのレーサーで、郵便車追跡には腕利きの運転手が必要だった。

まんまと郵便車から100万ドルを強奪。この大金をシーラとの愛欲に使おうと強盗のリーダーを裏切るのだが、実はシーラはリーダーの情婦であった。そのリーダーというのがアメリカ合衆国第40代大統領ロナルド・レーガンその人なのです。いや、もうロナルド・レーガンにしか見えません。シーラは大統領の庇護を受けながらも浮気を重ねつつ大統領の下に舞い戻る多情な女。今回もまたジョニーを毒牙にかけ大統領の下に舞い戻る。ジョニーはその日から生きながら死んでいるのだ。殺し屋ふたりが登場した時あっさりと殺られてしまったのも殺し屋の雇い主を察知し絶望したからだ。

ジョニーとシーラの経緯と、黒幕たるロナルド・レーガンの存在を突き止めた殺し屋は、シーラを締め上げて大統領をおびき出す。締め上げ方が尋常じゃありません美貌のシーラをホテルに拘束し窓から放り出そうとする。さっさと吐け。アンジー・ディキンソンの魅惑的な顔が醜く歪みます。これ、ドン・シーゲルが性的に興奮しているとしか思えぬ高揚感に溢れている。

ラスト。銃弾という表現法がいかに無機質なものであるかを思い知る構図で終える。

映画館ストレンジャー ぶっ飛ばせ!ドン・シーゲルコレクションにて
デニロ

デニロ