だい

アメリカ アメリカのだいのレビュー・感想・評価

アメリカ アメリカ(1963年製作の映画)
3.4
オスマン・トルコの民族弾圧に苦しむ田舎のギリシャ人が、
家族の全財産を託され期待を背負って都へ向かったものの、
お人好しすぎてトルコ人に食い物にされ無一文になったため、
食い繋ぐために結婚詐欺を行い、
富豪の夫人相手に不倫もして、
そんで何とかアメリカンドリームを成し遂げた話。

普通にクズやんな?


悪人に財産を奪われた苦難?

人生を狂わされたトムナちゃんのほうがよっぽど苦難なのである。



カザン監督の伯父の体験に基づく話。
って。

もちろん、
カザン監督か、
伯父本人か、
カザン監督に言い聞かせた親族か、
どこかで話は盛り盛りになってるだろうけども、
それを差し引いても当時のオスマン朝の空気感が知れるのは良き。


有名な民族浄化問題は、
被害者側のバイアスもあるからともかくとして、
コンスタンティノープルに行けば何とかなる意識とか、
でも実際には救いようのないくらいの貧富の差とか、
アメリカとの間に定期船便があるのとか、
海外の富裕層に売り付けるのはこの頃から絨毯なんだなとか、

いろいろ興味深い。



敬虔なムスリムがアッラーに祈りながら酒飲んだり悪行三昧なの、
どう見てもカザン監督のわかりやすいイメージングだと思うんだけど、
あれめっちゃ問題になりそうだけど大丈夫なん?

見た目印象としてはアラブ人っぽいというか、
ぼくがトルコを車で旅してた時は、
山村とかにもあんな感じの人皆無だったけど、
オスマン朝の頃はトルコ人でもあんな感じだったのかな?



結局のところ、
アメリカは差別もなく誰でも成功のチャンスありますよ!
っていうアメリカ讃歌なんだけど、

アンソニー・マンの「国境事件」を観なさい!!!!!

現実はそう簡単なものではないのだ。

ああ、そんな簡単に言うな~
そんな簡単に言うな!!!!
だい

だい