紫のみなと

冒険者たちの紫のみなとのレビュー・感想・評価

冒険者たち(1967年製作の映画)
4.0
観終わって、素晴らしい映画体験だったなあと胸がいっぱいになるような映画でした。

レティシア役がジョアンナ・シムカスだったことがこの映画を忘れられないものにしていると思います。
ジョアンナ・シムカスは村上春樹が好きな「若草の萌える頃」より本作の方がより魅力が冴えわたっていると個人的に思いました。彼女の天衣無縫な個性のおかげで若干荒唐無稽な展開も不自然じゃない。レティシアって名前もとてもいい。たびたび流れる主題歌「レティシア」の甘く懐かしいメロディがいつまでも心に響きます。

男2人に女1人というフランス映画では古典的な設定が今回は非常に切なく、本作のアラン・ドロンは本来の持ち分を如何なく発揮していますし(世界一ヨットの上が似合う男ですネ)相棒のリノ・バンチュラの父性的な魅力もとてもいい。2人の友情も揺るぎなく、男同士っていいなあと思わされます。
いい音楽に、光が美しい映像、2人の男と1人の女とくると、全然違うのに「明日に向かって撃て」を彷彿とさせたり。
3人が照りつける海上で過ごすシーンは生きるっていうことを謳歌している刹那的で印象に残るシーンでした。

ーもし飛行士だったら凱旋門をくぐって飛ぶ?
ー馬鹿げてる
ーもしエンジニアだったら自動車産業の改革を目指す?
ーそんなことしないさ
ーでしょうね