矢吹

天使の恍惚の矢吹のレビュー・感想・評価

天使の恍惚(1972年製作の映画)
3.9
薔薇色ごっこはもう終わり。

革命を志す若者たちは、組織の中で、個人としての立場と覚悟と責任に翻弄される。
女と男の共闘なるか、逃走なるか。

恍惚とは、炎の奥か、火炎の中か。
若松孝二、彼の視点で描いた、その業火の中にあった時代の空気に、非常に似通った集団共同体の燃え盛った行く末が、完全に、今となってはその未来で、K.Wakamatsuが全共闘で描い道。本当に変わらない。
脚本どうこうはあれ、その、同じルートを辿っていくのは、人を描く以上は、仕方ない輪郭になるのかもしれない。特に激った若者達を。
どこまで行っても、二足歩行の限界のようなものにも見て取れる。

孤的か個的か、声援か凄艶か、とか、どっちだったのかも怪しいのだけれど、大衆に対して向けられたあの視線、指先は、市民についての指差し確認は、もちろん映画館で見るべきだったんだろう。悔しい。すみません、K。

まさにこれが、元祖ファイ斗倶楽部。
ファイは何にしようかな。募集します。
元ネタとしてふんわり掠っている可能性大いにあり。
新宿を、国会を、気に入らねえ世界を爆破する。
結局、結構な劇作品となると、感情の摩擦の段階で、この爆発を何に託して、どう表現するかになるのかなとも思うけど、だからこそ、そりゃ本当にやっちゃった方がいいに決まってる。できるならね。できるもんならやってみろってか。

ずっと空気感が、映画よりも、演劇っぽいのは、きっと意図的に何度も画面のこちら側を挑発してくるからで、舞台とスクリーンの壁を爆破している破壊衝動の、そんな永久保存版。

じゃあ、そろそろ行きますか、向こう側へ、
10月と秋、2月と冬、1年達の、その判断とは。
矢吹

矢吹