『靴みがき』『自転車泥棒』のような胸がキリキリ痛むようなネオレアリズモ作品とは違う多幸感のある描き方で、これも一種のネオレアリズモなのかなと思う。
ファンタジーであり、コメディであり、ロマンスであり、実に寓話的。キャベツ畑に捨てられていた子供トトを中心に、当時のミラノに暮らす貧しい人々が描かれる。貧しい中でも人々は明るく楽しく力強く生き、希望にあふれている。
願いが叶う白い鳩に群がる人間の業。ひねくれ者の私は、人間の愚かさを描いているのかと思ったけど、貧しくても希望を持ったっていいんだよという監督の優しい視点なのだと思う。
街の人々の顔がイキイキしていてよかった。たぶん素人だと思うけど、お爺ちゃんの食べるシーンが好き。