ヤスマサ

愛と青春の旅だちのヤスマサのレビュー・感想・評価

愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)
4.0
海軍士官学校の候補生ザック・メイヨ(リチャード・ギア)の、人として成長していく姿を描いたヒューマン・ドラマ。
愛を知らずに育ったザックは、置かれた環境から抜け出したかったかのように海軍士官学校に入学する。

ポーラ・ポクリフキ(デブラ・ウィンガー)との恋愛関係が描かれているし、「愛と青春の旅立ち」という題名からもラブロマンスを想像する。
しかしこの映画は、その要素も多分にあるが、一人の青年の成長の物語なのだ。
原題は" an Officer and a Gentleman ” で「士官と紳士」であることは有名。
本来はその前に " Conduct unbecoming ” が付いて「士官や紳士に相応しくない行為」とい、軍法の条項にある文言とのこと。
そう考えると、この映画の見方も変わるし、全てに合点がいく内容だ。
ザックは紳士になりたい、少しやさぐれた一青年なのだ。
士官学校の厳しい訓練と仲間との友情を通して、心身ともに紳士へとなっていく。
ザックはフォーリー教官のしごきに「自分には他に行く所がない…、他には何もない」と弱音とも取れる本音を吐き、その後の意識が変わっていくのだ。
エンディングのシーンは、ポーラとの関係も紳士的に向き合った結果なのだろう。
終盤の友人シド・ウォーリー(デヴィッド・キース)とのシーンは胸が痛む。
ウォーリーはメイヨとは違って恵まれた家庭環境で育ち、素直な青年だったが、やはり紳士になりたいと願う一青年だったことが伺える。
成長譚であり、サクセスストーリーにも取れるこの映画が、評価が高く人気があることが納得いく作品。
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