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SOUL RED 松田優作の教授のレビュー・感想・評価

SOUL RED 松田優作(2009年製作の映画)
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「ドキュメンタリー映画」として及第点には到達していないばかりか、非常にイキがった編集や、小賢しい音楽演出の気概にとにかくゲンナリしてしまう。個人的にはとても「不快」な作品。

稀代の性格俳優(?)松田優作のドキュメンタリーとして。なんとも新鮮味の欠ける情報。バイオグラフィーの面でも、フィルモグラフィーの面でも、目新しさはなく。
インタビュイー達のラインナップも、そこから「松田優作」という人の本質的な人物像は浮かび上がらず、そういった視点も皆無と言っていい。

対象を賛美して、物々しく過去のものとして語ることによって美化されているだけの存在ではドキュメンタリー作品とは言い難い。
インサートされる出演作品にも、食い気味に挟み込まれるコメンタリーの不自然な編集と相まって精彩を欠いてしまう。

それでも。
松田優作自身の発言や、過去作品からの何気ない演技によって魅了させるキメの細やかさ、だけは不変だと思う。
だからこそ、もっと迫れる内容があったはずで、描くべき視点があった気がするし、ある1人の頂点を極めた俳優の「演技論」「芸談」として、せめてそこはしっかりと映しとって欲しかった。
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