アラサーちゃん

陽気な踊子のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

陽気な踊子(1928年製作の映画)
3.5
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〖陽気な踊子〗
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チャップリン以来のサイレント映画。

ブロードウェイで人気のコメディアンが、たまたま訪れた田舎で巡業していた劇団の一座の公演に、身分を隠して出演するハメになり、その一座を気に入ったブロードウェイのプロデューサーが一座をブロードウェイに招待する。座長の娘に恋した主人公は、ブロードウェイで彼女にバレないよう、二つの顔を使い分ける。

貧乏一座がひょんなことからブロードウェイの舞台を踏むというアメリカン・ドリーム。
都会人が、田舎の貧乏一座を小馬鹿にして笑いをとる厭味な社会風刺。
人情味溢れる愛らしいキャラクターと、微笑ましい未来を感じさせる温かくて洒落ているラスト。

この時代にも、キャプラスクがしっかり刻み込まれている。
楽しくて、愛しくて、ハッピーになれる大好きなフランク・キャプラ。キャプラの作品の魅力は、また次に〖フランク・キャプラのアメリカン・ドリーム〗のレビューでpostするとして、今回の作品も愛すべき作品だったなぁ💓

ブロードウェイの舞台では黒人役のために顔を黒く塗って、田舎のテント舞台では白粉降りかかるっていうシーンからも、わかりやすいこの格差。
ちょっとだけ、風刺部分が強くて苦手だな…と思ったけれど。
その風刺に頭をひねった主人公が、最後にとった笑いへの消化が面白い。スキー板って!(笑)

ふたりのロマンスシーンについては、昨今のロマンス映画で垣間見るようないいシーンばかりでした😌
雨の中、言い合う二人。弁解しようと距離を詰める男と、顔を背けて逃れようとする女、とか。
ラストなんて可愛すぎますね。よく、可愛い恋愛映画で『#キスをする時に女の子の片足があがる』演出とかあって、これ個人的にすごく好きなんだけど、そんな感じで愛らしいシーンでした。からの"the END"のセンスは『くぅぅぅぅ!』って唸っちゃいました💓

この作品、実は長くフィルムが紛失していて、20年前に見つかったものだそう。こういう作品に出会えることが、こういう作品を知ることが、観られることが、とてもとても嬉しいと思う。