原発事故の真相に迫る人達と、それを隠蔽しようとする管理者や建設会社の対立を骨太に描いた社会派サスペンスで、アメリカで79年に制作されているというのが興味深い。ヒロインのTVリポーター、キンバリーは志しは高いのだけれど「この仕事が好きだし続けていきたいの、利用されても構わない」と始めは局の言いなり状態。事故現場にいた技術者ゴデルは「事故などなかった。単なる故障で、原発は事故を想定したシステムに守られている」と原発の必要性を語ります。この二人が徐々に事故と向き合おうとしていく姿が丁寧に描かれていきます。キンバリーは事故の撮影フィルムをみた専門家の意見から、チャイナ・シンドロームの恐ろしさを知り、ゴデルもX線写真の虚偽から、原子炉の溶接部に重大な欠陥があることを知り、二人は真相を公にする為に協力していきます。ここから真相を隠蔽しようとする奴らとの対決が激化して急にエンタメ度が上がります。ゴデルは原発の制御室を占拠し、キンバリーとTV中継で真相を流そうとする一方、管理者は原発の非常停止と、特別機動隊を使った制御室突破を目論み、一気にクライマックスへと展開していきます。ゴデル役のジャック・レモンは大熱演。目で語るシリアスな演技からカーチェイスまでこなしてます。原発の非常停止と共に息絶える場面は鬼気迫るものがあります。キンバリー役のジェーン・フォンダは役作りで赤毛にしたみたいだけどあまり似合ってないような…演技はさすがでラスト締めの演技は素晴らしいです。