浅野公喜

クラッシュ!の浅野公喜のレビュー・感想・評価

クラッシュ!(1976年製作の映画)
3.2
無人の車が暴走する70年代のオカルト物。同系統では有名な「クリスティーン」や「ザ・カー」(あるいは「殺人ブルドーザー」、「地獄のデビルトラック」)と比べると知名度が低いですが、一般的な車を使ったカーホラーの元祖的作品で、「ザ・カー」は今作のほんの少し後に作られています。一部地域では当時「カー・クラッシュ!」という邦題で公開されたとか。

嫉妬深い夫の策略によって重傷を負った妻がフリーマーケットで買った謎の力を持つ像によって車(初代シボレーカマロ)を動かして復讐するというストーリーで、所々にカーチェイスが盛り込まれてそこそこテンポ良く進みます。横転や爆発を含むカーアクションはやたら派手で力が入ってますが、スローモーションを多用し過ぎてイマイチ迫力が伝わってこなかったり、後半おさらいなのか時間稼ぎなのか分かりませんがそれらをまとめて回想したりと編集の悪さが残念な所でしょうか。大したことのないクラッシュですぐ爆発したり、横転した後急に夜に切り替わって爆発する辺りには作りの雑さを感じます(笑)。

暴走するシボレー・カマロも、個人的に大好きな車でサイドマフラーや音も格好良いのですが「ザ・カー」のリンカーンや「クリスティーン」のプリムスと比べると人を襲う車としてはカリスマ性に欠け、そのビジュアルを活かした演出や撮影がそこまで無いのも気になります。

しかし「ロリータ」で有名なスー・リオン演じる妻が覚醒した時の真っ赤な眼は強烈ですし、車だけでなく車椅子を動かして犬を襲ったり編集や演出はともかくカーアクションは充実と見所は有り、ミョーンという音が印象的な当時のシンセ?を使用したBGMは耳に残ったりと個人的には捨て難い作品です。

監督は後にエンパイア・ピクチャーズとフルムーン・ピクチャーズを設立し、「デビルズゾーン(ツーリスト・トラップ)」、「フロムビヨンド」「ドールズ」「パペットマスター」シリーズ等に携わるチャールズ・バンドでした。
浅野公喜

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