kuu

マレーナのkuuのレビュー・感想・評価

マレーナ(2000年製作の映画)
3.9
『マレーナ』原題Malena
2000年 92分 
米国・伊太利合作映画。
あら?ポスターが変わった(・_・?)
1940年、第二次大戦下のイタリア。12歳の少年レナートは、村で一番美しい女マレーナに一目惚れする。
結婚したばかりの夫を徴兵された彼女は、海岸沿いの家に1人で住んでいた。
戦地にいる夫を想い、目の見えぬ父親の世話をする彼女を影のように追うレナート。
やがて、敗戦とともにマレーナの夫の戦死が伝えられ、彼女にとっての悲劇が幕を開ける。 
長ズボンをはくようになったレナートは、そのすべてを胸張り裂ける想いで見つめ続けていた。。。

官能性・妖艶さ・知性・美しさイタリアの宝石とまで謳われるモニカ・ベルッチが演じるマレーナは、朴訥と美しさてのが絶対的パワーとなって流れていく作品と云っても過言ちゃうかな。
加えて、物語の知的好奇心いや、怖いもの見たさを増させるのは何とも云えないこの時代に場所、そして民衆。
南イタリア・シチリアの、貧困で低俗、下品で大っぴら(露骨ともとれるが)、そして、バカ正直な民衆。
行動的で粗野な反面、繊細な神経で他人を信用せず、心を許す友人も作らず常に孤独であったムッソリーニの演説に民衆はピタリと合致するんがあるのはなんか了解できた。
喝采を与えながらイタリアが戦争に敗れ米軍が入城してくると星条旗を振って大歓迎する人たち等々。
せやけど、低俗極まりない喜劇的台詞・所作は観る者の笑いの渦を誘う。
時代や風土を鑑みたら、悪どい風聞を象徴してる。
主人公レナートの学校での事件は身近な情景なんかな。
ラテン語の授業中、クラスの生徒が立ち上がって、
『マレーナと一発やって来てもよろしいでしょうか』
と先生に云う、それは、便所に行きたいちゅうこと。
『急いで行って来い』って受け流すこの先生はマレーナの父ちゃんである。
生徒が次々にふざける。
諦め顔でこの先生はなおも冗談で応える
ここにあるのは無節操というよりは『世間』の生き生きとした底力なんかな。
下品で低俗で喧しい喜劇てのを昇華させ崇高なヒューマンドラマにさせてる監督には脱帽かな。
カモメの舞う海辺のシチリアの美しい美しい映像。
大笑いさせてくれたし、少年の人間的成長でプチ泣かせてくれた。
加えて、音楽も切ない明るさで郷愁を誘って素晴らしい作品でした。
kuu

kuu