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マレーナのkmiwのレビュー・感想・評価

マレーナ(2000年製作の映画)
3.5
ストーカーはつい最近の犯罪ということでもなく、古より恋心の妄想、暴走はあった。
この作品はマレーナというタイトルではあるが、彼女に恋をしたレナート少年のストーカー的な視点を通して展開される。

美しさゆえに村の女性陣からほぼ村八分な美女マレーナに一目惚れした少年が、第2次世界大戦の最中から終戦後にかけて成長する様を見守る作品だ。

言うまでもない、泣く子も黙るニュー・シネマ・パラダイスのジュゼッペ・トルナトーレとモリコーネがタッグを組み、懐かしくも美しいイタリアの田舎町を舞台に撮影。そのゆったりとした雰囲気と景色は、ストーリーの物足りなさを補って余りある。

ストーリーの物足りなさは、何に起因しているのかと言うと、マレーナの人物像が今一つはっきりしないところだろう。

主体性がない。
美しいのは確かだ。
そりゃこんな美女、歩いているだけで村中がざわつくわ。イタリアの宝石とまで言われたモニカ・ベルッチ。まじで美しい。立体的な彫刻のような体つきも、完璧な顔立ちも、全てのベクトルが美。
しかし意志が感じられない。終盤かなりひどい扱いを村中から受けるわけだが、悲しげな態度を取るばかり。

だが後から考えてみたのだが、この作品は少年の目を通して見えていた大人の世界が舞台。そこにはマレーナの人格は必要がないのかもしれない。

マレーナの側からスピンオフを撮り直したら、まったく異なる様相となるかも。
ある意味したたかな美女が田舎のコミュニティを振り回す話し。私はマレーナの心の内をもっと観てみたい。
ノスタルジックな感じの話ではなくなりそうだし、ニュー・シネマ・パラダイス的な世界観からは大きく外れそうだが。
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