ヤマダタケシ

青べか物語のヤマダタケシのネタバレレビュー・内容・結末

青べか物語(1962年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2020年9月 早稲田松竹で
・川島雄三って猥雑な大衆というか、汚い部分も含めての街に暮らす人々を描いている気がする。それがイコールでその街自体を描く事にもなる。じゃりんこチエに近いバイブスも感じたり。てか、長屋ものの系譜か。
・それぞれが不名誉なあだ名で呼びあい、嫌なウワサを流し合いつつ、どんな人でもそこに存在することを許容するような街の在り方を、街の中に居ながら同時にある種の客観性を持って描いて行く視点は、なんというかHIPHOPっぽいなと感じた。
・観察者であろうとする主人公が、しかし街の人たちの圧によって段々街の一員になっていく。青べかを買わされたり、遊女に押しかけられたり。
・街の入り口として橋があり、それを向こう側に渡る、橋を戻る終わりとはじまりにある部分は同じ川島監督の『須崎パラダイス赤信号』と重なる。ただこれは川島監督に限った話ではないよう思う。『あしたのジョー』だって涙橋だし、昔の方が今より境界としての橋が意識されることが多かった、あるいは、その境界を意識せざる得ない地区が舞台の作品が多かった?
・新婚初夜ふとんの周りに砂を撒くシーンが良い。
・最後のショベルカーが、この時点では関係無いかもだけど、いずれこの場所がディズニーランドになることを予感させた