teraishota

青べか物語のteraishotaのレビュー・感想・評価

青べか物語(1962年製作の映画)
-
埋め立てで失われようとしている東京郊外(浦安)の余りにミニマルで寂寥とした風景と(川島雄三には珍しい美しい構図で撮られた風景の数々)、市井の人々の猥雑で喧騒的な営みとが対照的にあって、その真ん中に(端っこという名の真ん中)失われてゆく風景の中に取り残されてゆくであろう物言わぬ静かな人たちを愛着を持って映し出している。森繁や山茶花究らの抑制の効いた役回りが新鮮だし、逆に東野英治郎や加藤武は下品極まりない猥雑さを撒き散らしていて最高だし、左幸子も明け透けなのに健気で好きだし、乙羽信子の一度だけあるクローズアップでの穏やかな表情には感動する。
teraishota

teraishota