うえびん

ヤンヤン 夏の想い出のうえびんのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.7
人生スケッチ

2000年 台湾/日本作品

8歳の少年ヤンヤンと
姉、父母、祖母、叔父、その周りの人びと
淡々とした日常と
各々に訪れるドラマ

ヤンヤンの登場場面
それほど多いわけではないのに
しっかり彼が中心になっている

ヤンヤンの視線の先に見えるもの
想像力が掻き立てられる

おばあちゃん、お父さん、お母さん、お姉ちゃん
ヤンヤンとその家族の縦軸に
叔父さん、叔母さん、従弟の誕生
斜めの軸が交差するのが効果的
トリックスターのような叔父さんが面白い

初恋といたずら
恋愛と失恋と横恋慕
結婚と浮気
昔の恋人との再会と別れ
齢と共に変わってゆく男女の関係が面白い

台北と東京
都市の夜景、高架下、踏切、ホテル
神社の境内、浜辺…
学校の廊下、プール、ファストフード店
自転車の二人乗り…
ドラマが展開する場面がどれもよい

姉のティンティンが見た
「美しい夢の世界」

ヤンヤンが祖母に告げた将来の夢
「見たこともないものを見せる人」になりたい

「一度きりの人生」を
懸命に活きる父と母
懸命に生き抜いた祖母

そんな大人たちの背中を眺めながら
大人になってゆくティンティンとヤンヤン
二人の今後の成長に想像が掻き立てられる

古今東西、子々孫々続いてゆく
人の営み
人生模様

どこかで見たことがある
どこかで感じたことがある
人びとの営みや関係のスケッチ集
そこに見たこともないものが見えてくる

「人生を映す鏡」のような作品◎
うえびん

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