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ヤンヤン 夏の想い出の豪のレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.3
村上春樹的な、都市生活における人々の葛藤や憂鬱を描いている最高の作品だった。
歳を重ねることでの虚無感、人間関係の複雑化、後悔、挑戦と不安という、社会システムから生じる悩みを「サラリーマン」「主婦」「高校生」という観点から表現する。これが非常に共感できる部分が多く、特にイッセー尾形とのやり取りで出てくる生きることの不安と挑戦への尻込みについては個人的に特に響いた。
ただ、時折登場するヤンヤンという8歳の少年のみ、それらに縛られず純粋に権威と闘い世の中に疑問を提示する。きっと誰しもがヤンヤンと同じ時期があり、まだ心にその人格は残っているはず。奈良美智の絵を見た時に近い、幼少期の自分に睨まれている感覚を久々に味わいました。
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