あだやおろそかに〝大傑作〟とか〝生涯ベスト!〟などと装飾することが憚られる映画のひとつ。
わたしにとって「ヤンヤン」は、いつかスクリーンに預けたわたしの心の一部です。
すべてのショットが体温のように親しいし、すべてのカットが呼吸のように苦しい。
でもそのすべてが優しく愛おしい。
映画はけして手品ではないが、楊德昌はその中にひとつかふたつ、手品を見せてくれる。
それが彼の映画なんだな。
楊德昌の映画を観るたびに「楊德昌、生き返らないかな」と思うけど、どうやら叶わないのでまた哀しくなる。
でも映画が終わったらとりあえず座席から立たなきゃな。
改めて観て、原題の「a one & a two」はめちゃめちゃいいタイトル。漢字にすると縦位置にしなきゃならないデザインありきだが、「一一」というのもよい。
最初に観たのは20代はじめ、2回目は祖母が死んだ30代後半、そんでNJに近しい40代半ばで観た3回目。次は50代のイッセー尾形の目線で観ることができるだろうか。
早稲田松竹様で絶賛上映中!
(初めて気づいたけど津田健次郎が出てたんだな!)