「映画は人生を3倍にする」
何て素敵な言葉。
エドワード・ヤン監督の作品はこれしか観たことないけど、もう溜息が出るほどのセンス。
冒頭から一瞬で引き込まれる。どこを取っても完璧な構図、美しすぎるフィックスショットの数々。引き画の長回しにここまで引力を持たせるって、ほんと凄い才能。
カフェのウインドウ越し、ホテルの窓越し。登場人物の目ではなく、常に俯瞰する視点。画面を観ているうちに空気に飲まれ、まるで自分もその場にいるかのような感覚に陥ってしまう。
物語に大きな起伏はなく、ただ家族がそれぞれそれなりに問題を抱え、それなりに葛藤し、それぞれ自分なりに落とし所を見つけ、我が家に帰ってくる。それだけの話。でも、それだけの話だからこそ、紛れも無い人生の映画。
唯一あかんのはジャケと邦題。とびきり上質な家族の群像劇やのに、これじゃヤンヤン主体のほっこり系子供映画にしか思えんやないか…何とかならんのかこれ