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ヤンヤン 夏の想い出のlordanthonyのネタバレレビュー・内容・結末

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

24年前に映画館で観たのは覚えてるのだけど、細かくは内容覚えてなくて、改めて映画館で観られて良かった。クーリンチェとは違う内容だけど、全てが詰まっている作品だと思う。

「人生はシンプルなものだ」と監督は言うのだけど、シンプルだからといってうまくいくという意味ではないのだろう。NJの家族はそれぞれが悩みを抱えているのだけど、お互いに支えあうというわかりやすい描写ではなく、それぞれの悩みに自分で対峙している。決してバラバラな家族ではないのだけど、人生はそれぞれのものだし、血がつながっているからといって、誰かの悩みを簡単に解決できるわけではない。

ティンティンと男の子のシーン、引きの画が多かったのが印象に残る。あまり表情は見られないのだけど、どこか乾いた空気が伝わってきた。あと、NJがシェリーと日本で歩いているシーンはどれも美しく、どこか小津っぽい雰囲気にも見えた。昔付き合っていた人と異国で会うというのは、一般的に良いとはされないのかもしれないが、彼らは彼らの人生の重要な時間を共有してきたわけであって、気持ち的に止められるものではないのだと思う。結果はともかく、特にシェリーにとっては今の思いを彼に伝える必要があったのだと思う。

ファーストシーンとラストシーンも素晴らしく良かった。祖母を介してというわけではないのだろうけど、ラストは家族の力を感じた。
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