みどり

ヤンヤン 夏の想い出のみどりのネタバレレビュー・内容・結末

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

『イロイロ ぬくもりの記憶』を思い出しました。似ているところが多々あったので、もしかするとオマージュを捧げていたのかも知れません。本作が好きな人はきっと好きです。

本題。ヤンヤンについて。
ジャケットからはわんぱくな少年を連想していましたが、この子相当思慮深いです。大人顔負けです。興味のある事には熱心に情熱を注ぎますがあらゆる事に冷静に対応します。終盤の赤チェックシャツにリュックの姿なんて、中年の鉄道オタクにさえ見えます。ですがそれだけに(?)ヤンヤンの発する数少ない言葉には重みが感じられ、鑑賞後に残るのは彼の台詞が多かったです。
この子、思春期の生きづらさ半端じゃないだろうなーと思います。
初恋の女の子に見惚れるシーンの演出には感嘆させられました。雷どどどどーん!
また、恋心に気づいてか、本能か、ストーキングも卒なくこなす彼の将来が心配になりました。笑

人の後ろ姿ばかりを撮った写真は、隣人の涙への疑問から撮り出したと思いますが、まだ幼い少年がカメラを持って歩いているにも関わらず、誰もこちらを向かなかったという事も表されていて、切なくなりました。
いじめられても助けられず、教師からは不当に叱られ、家族は自分のことばかり。家族は決してヤンヤンを愛していないわけではないけれど、彼が少年として振る舞える場が無く、この性格が出来ったことにも納得がいきます。

邦題について。ヤンヤンの言動をこの長いフィルムの中で終始意識させた、という意味で巧いなー!と思いました。素人の私の感想であって、他に深いわけがあるだろうと思いますが…。あまり登場しないのに、この子が重要なんです。この家族には、この子が必要なんです。最後のシーン、印象的でした。

作品の奥行きが深すぎて、ヤンヤンの事だけを書いてきてしまいましたが、父も母も姉もおばあちゃんも皆人間臭くて私は好きでした。

DVDの特典映像で日本とフランスの予告編を見ました。日本編は台湾と日本の場面をはっきり区別して編集しているのですが、フランス版はごちゃ混ぜになっていて、見た目じゃ分からないしまあそうなるよね…って感じでした。笑 

台湾って親日で良く日本を描いてくれるイメージがあります。実際私が台湾に行ったときも、日本人だと分かると親切にしてくれたり、「アリガトウー」と声をかけてくれたりしました。良い国です。
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