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怪談蛇女のryotaのネタバレレビュー・内容・結末

怪談蛇女(1968年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

邦画独特の怪談映画で、こちらは蛇女というまあ気持ち悪そうな作品です。ただグロというのではなく、あくまでも怨念にまみれた東映らしい恐怖映画であり、中川監督の手腕が遺憾無く発揮されたアートでもありました。

パターンは割と王道で、虐げられた使用人の母娘が無惨な死を遂げ、いじめた悪者が酷い妄想に取り憑かれて結果自分で死んでしまうという間抜けな流れです。前半は健気に一生懸命働いて借金を返そうとするのですが、色ボケの若旦那にレイプされたり、なんでもかんでも「お前が悪い!」って言われて、母娘のまあ可哀想なことこの上なし。だからその復讐(復讐するつもりはもしかしたらないのかもしれません。ただ自責の念に囚われて悪さした奴の気が狂っていくのです)はある意味爽快で、当然の報い。だからそこを「怖い」ってしてしまう日本の怪談ってある意味情緒的でそこが魅力だと感じます。蛇は、実際に蛇女が出てくるわけではなくて、妄想でおかしくなってる最中にシマヘビ(毒のない割とひょろっとした蛇ですが、だから気色悪いってものあるのかな?子供の頃よく見かけた蛇だったから、正直私はあまり気持ち悪いって思わなくて、なんでみんなびっくりするんだろうってな感じでした)がやたら出てきて、恐怖感を煽っているという、いわゆるギミック扱いです。その辺りの演出とか、妄想に出てくる亡霊とかの表現がたまらなくアートでそこは楽しいです。蛇が襲ってくるのではなくて、本物の蛇を使ってさりげなく装飾しているところも生々しくて素敵です。

でもまあ、それっくらいなもんで、地主さんもたくさんの貧乏な人たちを雇って暮らさせているわけだし、ちょっとおいたをしちゃったわけで、そんなに悪の権化って感じでもなかったし、結局自らおかしくなってしまう気の毒な死に方。「恨めしや〜」で化けて出てくるのでもないし、小さな村のとある事件という印象です。兎にも角にも、因果応報、勧善懲悪。綺麗な作品とも言えるでしょう。
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