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プロメテウスのEikeのレビュー・感想・評価

プロメテウス(2012年製作の映画)
3.0
本作「プロメテウス」は言わずと知れた「巨匠」リドリー・スコットの最新作であり、彼の代表作(というか出世作ですかね)「エイリアン」との関連が取りざたされてた作品です。

「エイリアン」が世に出たのが1979年のことですから既に40年以上の月日が過ぎたことになります。
そのオリジナル版をリアルタイムで楽しんだ身としては本作「プロメテウス」に対してはちょっと複雑な感想を持ってしまいます。

オープニングシーンでいきなり「?」。
しかしすぐにこれはオリジナルの「エイリアン」との関係にこだわるよりもあくまで最近流行りの「リブート作品」として見るべきなんだろうなぁ、と確信。

リブート作として見るならオリジナルの「エイリアン」の設定を知らなくても構わない訳で実際、本作「プロメテウス」は1979年の「ALIEN」を知らなくても特に支障のない内容になっています。
要するに1979年のオリジナル版に描かれていたカギとなるモチーフを取り出して作られた独自設定のSF映画ととして見る事が出来るという事です。

そもそも1979年のオリジナル版は「究極のお化け屋敷」を最先端の特撮技術(死語)で見せた点がユニークな「SFホラー」でした。
キャッチ・コピーからしてIn Space, No one can hear your scream. 「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない…」でしたからね。
しかし本作は「恐怖」の要素こそ多々あるものの「ホラー」としての印象はそれほど強くない。
むしろ人間、生命、そして進化を巡るミステリーに比重がかかっている印象が強い。
登場人物たちに与えられた役割にも大きな違いがあり、「エイリアン」においては全員が潜在的に異星生物の「餌食」であり、それが全編を通じて緊迫感を生む大きな要因になっておりました。
一方、本作においてはノオミ・ラパス扮するショウ博士がミステリーを体を張って(文字通り)解明する役割を与えられていて、もう一人マイケル・ファスベンダー演じる人造人間デビッドの行動と言動がそのミステリーをより深い物にする効果を与えております。
この両者の動きが物語の原動力になっており、実は異星人(エイリアン)の存在とその行動は物語の素材に過ぎない扱いなのだ。

FOXスタジオとしては1979年のオリジナル版との関連を匂わせることで本作を大いにアピールしたかったのでしょう。
同じR・スコットが製作した作品でありながら79年の「エイリアン」に比べて映像表現はCGの利用もあって格段の洗練を見せてはおりますが、インパクトと言う点では拍子抜けの感がある点は否定できない。
何よりSFらしさが足りないない気がするのですが…。

それと一点指摘しておきたいのは、やはりジェリー・ゴールドスミスの映画音楽が如何に偉大であったかを改めて思い知らされました。
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