Kota

オール・アバウト・マイ・マザーのKotaのレビュー・感想・評価

3.4
“黙って消えないで。お別れだけは言いたいの、例えどんなに辛くてもね。”

息子エステバンの事故死を乗り越えるため、母親マヌエラは昔の故郷バルセロナに戻る。そして悲しみを塗りつぶすように、売春をしていた時代の友人アグラードや妊娠をしてしまった修道女ロサと共に女性としての人生を強く生きる。

アルモドバル監督節が凄い。近年の”ファッション”フェミニズムを叩き割るかのように、様々な視点での女性の壮絶な生き方を描く。1人の母親を中心に、売春を続ける女性、女性に変わった男性、女性に恋をした女性などセクシャリズムが50年ぐらい先を言っていて最初は人間関係を捉えるのに苦労した…(笑)。

結構重いテーマだと思うのだけど、この監督特有のカラフルな構図と、役者の清々しい演技力で終わり方含めて爽やかな映画に。トランスジェンダーのアグラードが語っていた「女になるにはお金がかかるの」って言葉がカッコよかった。綺麗事だけでは描けないリアルな人生謳歌。
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