井出

オール・アバウト・マイ・マザーの井出のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

母についてのすべて。これは息子、つまり監督の綴る物語。息子はこの世の外から、監督は物語の外から、映画を綴る。そしてその中に新たな息子が生まれる。カメラに筆で字が入れられるところは象徴的だった。次元は異なりながら、同調する。女を買いに車が野を回るシーンから象徴されるように、巡り巡る。これはジャックタチのプレイタイムやフェリーニの8 1/2と似ないように見えて、ある意味では同じである。また、これは他のことにも言える。
母は、女でもあり、売女でもあり、レズビアンでもあり、役者でもある。それが息子の死後のバルセロナに集まる。寛容で演技上手な女たちは、苦しみながら、赤い炎を燃やして強く生きる。美しい。そして賛美的。ロマン主義。
また、舞台に立っては、出て、舞台に立っては見る側に回る。主観と客観をダンスのように繰り返す。まさに人生。話もリズミカル。
熱いハートは臓器移植のように、受け継がれていく。女性たちは、美と寛容というハートを。
また、これは「13回の新月のある夜に」の前夜的作品として受け継ぎ、「私はロランス」によって引き継がれていくとも、ある意味言えるのではないか。
時と場を超えて渦巻く有機的連帯。素晴らしい。
井出

井出