スガシュウヘイ

明日に向って撃て!のスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


「もうお前らの時代は終わったんだ」

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“未来の馬”=自転車にのって戯れる牧歌的な前半。
『雨にぬれても』の和やかなメロディ。

しかし、ブッチとサンダンスは確実に時代に取り残されていく。

ブッチは自転車を捨てた。
これはつまり、ブッチとサンダンスは「未来では生きていけない」ってことの暗示だったんじゃないのかな。


そして
どこまでもどこまでも執拗に追いかけてくる追跡者の静かな恐怖。
この追跡者もまた、未来の「管理社会」の象徴だ。

現代では、悪いことをしたら捕まる。
当然だ。
そんな当たり前のことをわかってないブッチとサンダンス。

蹄の音が不気味に響く。


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「ひとつ約束があるの。二人が死ぬとこだけは見ませんからね」

ボリビアへ逃亡する前夜、エッタは言った。
同感だ。
私も二人が死ぬところを見たくない。
そしてその想いはきっとジョージ・ロイ・ヒル監督も、、。

なぜなら、本作のラストはストップモーションになっていて、二人が死ぬシーンが映らないから。


このストップモーションは「映画史に残るラスト」なんて評価されたりしてるけど、私が思うに、このラストは単にジョージ・ロイ・ヒルが
「二人が撃ち殺される瞬間」を撮りたくなかっただけなような気がするんだよね。


「実は泳げない」
「実は人を撃ったことがない」
ボリビアではスペイン語のカンペを読みながら銀行強盗をする。
そんな憎めない二人の旅には、「死」が似合わない。
でもストーリーの展開上、どうしても死んでもらうしかない。だから、あんなラストにしたんじゃないのかな。


エッタとの約束を守ったのは、他でもないジョージ・ロイ・ヒル監督だったのだ。



そして、もしまた二人に会いたくなったら『スティング』を見ればいい。
ブッチとサンダンスが、再びタッグを組んで楽しそうに暴れている姿を見れるから。


公開:1969年(米)
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
音楽:バート・バカラック
出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス
個人メモ:⭐︎4.5→マイ殿堂入り映画