みおこし

ボクサーのみおこしのレビュー・感想・評価

ボクサー(1970年製作の映画)
3.4
現在公開中の『ライオン・キング』で偉大な王ムファサ役の声優をアニメーションの時から務められているレジェンド、ジェームズ・アール・ジョーンズ。なんと御年88歳だそうですが、バリバリの現役!『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダー卿の声でもおなじみ。
そんな彼が若き日にアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた本作。

黒人として初めてヘビー級世界チャンピオンになったジャック・ジョンソンをモデルにしたフィクション。20世紀初頭のアメリカで、黒人の名誉と権利のために戦い、さらに白人女性エレノアと恋に落ちたジャックの波乱の半生を描く。

時は1900年前後、公民権運動よりも遥か昔、むしろ奴隷解放宣言の時代に近いというかなり昔のお話。そんな世相に、黒人ながら最強のボクサーとして名を馳せたジャック。実際の彼はプライベートでもスキャンダラスな日々を送っていたようですが、人々の注目を最も集めたのは白人女性と結婚したこと。当時は異人種間、特に黒人と白人の結婚は認められておらず、大変なバッシングを受けたとのこと。(しかも白人からも黒人からも!)
そんな過酷な状況においても、アグレッシブな姿勢を崩さず、"誇り"を持った毅然とした態度で試合に、そして社会に挑む姿には大変奮い立たされました。
70年代を代表する名女優ジェーン・アレクサンダーが、そんな彼を献身的に支えつつも苦悩する妻エレノアを演じていてこれまた素晴らしい配役でした。

豪快すぎるがゆえに、周りがついていけなくなってしまったり、はたまた遊び心が過ぎたりという人間らしい側面もあるのが、彼のまた魅力なのかなとも思いつつ。
ボクシングシーンも迫力たっぷりでした!
ものすごく若い頃の作品だけど、深みを帯びたジェームズのあの声は当時から健在でなんだか不思議な感じでした(笑)。

ラストは突然シビアな展開になるので驚き過ぎてちょっと乗り切れず...。
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