じゅり

太陽の帝国のじゅりのレビュー・感想・評価

太陽の帝国(1987年製作の映画)
4.4
スピルバーグの映画を観ていってたらこれは観る前から面白いって分かるやつやんというのを見つけました。珍しい視点で描かれているので本当新鮮だった。
両親と離れ離れになってしまってから、英国お坊ちゃんらしい殻から抜け出して生きる力を手に入れていく様が悲しくもあるし力強くもあって泣いてしまう。立場が変わればすぐに敵として扱われて、子どもとしてうまいこと利用されて、誰も信用できなくて。そんなことがあってもあれだけ強く成長したのは、零戦が好きだったからなんだろあなあ。飛行機にのめり込んでたおかげでその辛さが紛れたんだろうなあ。
でもあの、「空のキャデラック」が来た時に、もうこの苦労が終わるんだと本能的に分かったのか急に両親の顔が思い出せない、と泣いてて、自分の押さえつけてた感情が出ていたのはすごく良いシーンやった。やっぱりあれだけたくましく成長してたけど実はまだまだ子どもだった。その後の原爆だと知った空の光もベンジーとの再会も日本軍のお友だちもどのシーンも良かった。ハッとさせられる台詞も多々。
あと驚くべきはジムがクリスチャンベイルだということ。飢えた演技や飛行機をみると狂ったように夢中になる演技、お坊ちゃんから完全にジムとして生まれ変わった表情、おばさんをじっと見つめる目、全て現実にいたのかなと思うくらい、演技うまかった。というかスタイルも顔も出来上がりすぎてる。表情が天才。何回も彼の表情で泣けた。
日本人側からすると、敗戦がテーマになってしまう映画だけど、これはそんな事がテーマでは無くて、生きる力を手に入れる事の大切さを考えるものだと思う。やっぱりスピルバーグの映画は良い。
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