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シン・シティのRのネタバレレビュー・内容・結末

シン・シティ(2005年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2005年のアメリカの作品。

監督は原作者のフランク・ミラーと「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のロバート・ロドリゲス、「レザボア・ドッグス」のクエンティン・タランティーノ。

あらすじ

暴力と欲望が渦巻く街、「シン・シティ」で3人の男たちがそれぞれ命懸けの戦いに身を投じる姿を描く。

U-NEXTにて、2度目。

個人的に大好きなロバート・ロドリゲス監督作で配信終了が迫りつつあったので再鑑賞。

お話はあらすじの通り、原作は今作の監督にも名を連ねているアメコミ界の巨匠、フランク・ミラーによる同名コミックの実写化作品である。

ということで、言ってしまえばアメコミ=グラフィック・ノベルそのまんまなモノクロで統一された世界観で撮影は全編グリーンスクリーンを使用しており、まるで実写化された登場人物がそのまんま漫画の世界観の中で動き回っているかのような感じで流石ミラー本人が監督をしているだけあり、こだわりの世界観が広がっている。

そして、その中でいぶし銀の「漢」たちがエログロ全開でケレンの効いたセリフと展開、そしてアクションのつるべ打ちの中で戦いに身を投じていくわけだから、そりゃ同じ男としてテンション上がりっぱなしなわけで!!

内容的には強面な大男マーヴ(ミッキー・ローク「ウォーハント 魔界戦線」)が主人公のep1「ハードグッドバイ」、死刑宣告を受けながら顔を変えてシン・シティに戻ってきた男ドワイト(クライヴ・オーウェン「天才ヴァイオリニストと消えた旋律」)によるep2「ビッグファットキル」、そして心臓に持病を持つ老刑事ハーディガン(ブルース・ウィリス「オペレーション・ゴールド」)がトリを務めるep3「イエローバスタード」の3編にジョシュ・ハートネット(「オッペンハイマー」)演じる殺し屋ザ ・マンによるオープニングとエンディングで構成される、半ばオムニバス形式。

ちなみにロドリゲスの盟友タランティーノもep2のドライブシーンを監督してるらしいんだけど、なるほどモノクロに差し色で挟み込まれるライトの色彩(このように本作ワンポイントで差し色で色彩が挟み込まれるところもカッコいい)の演出もあって実にスリリングで見応え抜群。

で、やっぱ主演の3人がカッコええー。ミッキー・ローク演じるマーヴのほとんど怪物じみた見た目からなる凶暴性は流石の説得力だし、ドワイト演じるクライヴ・オーウェンは前髪をおろした感じがオーウェン史上1番男前なんじゃないかってくらいカッコいいし、なんといってもブルース・ウィリス演じる老刑事ハーディガンの圧倒的渋さ!!渋さ!!渋さ!!ちょうどキャリアも落ち着いて中年を過ぎたあたりのウィリスと老刑事感と彼のチャームでもある目を細める感じ、それと今作のモノクロ感が絶妙にキャラクターを1分1秒かっこよく撮ることに終始していて、いや、これは個人的にウィリスのベストアクトじゃないのか?

役柄的にも幼き頃に助けた運命の女性ナンシー(ジェシカ・アルバ「トリガー・ウォーニング」)を監獄に囚われの状態のまま、手紙のやりとりを通じて、なんと8年もの間交流し、その後釈放された後はナンシーと再会、その時点でもうハーディガンにゾッコンのナンシーに対しても、誰よりも愛しているにも関わらず、かつて助けた少女であり、まだ未成年という身もあって「ダメだ…」と拒み、キス以上の関係に踏み込まない、あくまで紳士であろうとする姿がクゥ〜、また渋い👍!!

ラストのオチも画面いっぱいの黒に白のシルエットだけで「彼がナンシーのために選んだ道」そのものの末路を描いた完璧すぎるオチでこれぞ、ハードボイルド!!なラストでグッときたなぁ…。

また、主要以外のキャラもみんな凄くて、ep2に出てくる悪徳刑事のジャッキー・ボーイを演じたベニチオ・デル・トロ(「レプタイル-蜥蜴-」)は普段の渋い感じから一転してかっこよさのかけらもない小悪党かつ酷い目に遭いまくった後、ピストルの先っちょがおでこから突き出たまんま死体となったり、挙げ句の果てには生首状態になるというイメージをかなぐり捨てた役で面白かったし、ロザリオ・ドーソン(「ホーンテッド・マンション」)演じるオールドタウンのボス、ゲイルやオールドタウンの最強の女ミホ役のデヴォン青木(「スティーヴ・アオキ:I'll sleep when I'm dead」)の妖艶さ、あとニック・スタール(「聖闘士星矢 The beginning」)演じるイエロー・バスタードのキモさMAXの感じなどアクの強いキャラがこれでもかと出てくるんだけど、中でも異彩を放つのが、イライジャ・ウッド(「プライス-戦慄の報酬-」)演じるケビン!!まだこの頃は「ロード・オブ・ザ ・リング」のフロド役のイメージが強かったイライジャが今作ではモノクロ効果を活かした目をあえて見せないフチナシメガネで怪演する連続殺人鬼ケビンというキャラクターを演じているってだけで新鮮なんだけど、役柄的にも無感情に娼婦を襲い、殺した娼婦をそのまんま食べて、その剥製にした生首を部屋に飾るというまんまサイコキラーな不気味さと、そんなキャラクターなのに戦い方は鋭く尖った爪とアクロバティックなアクションを使う武闘派という様相モリモリなキャラクターで多分1番キャラとしても濃ゆい感じがまた良い。

マーヴとの戦いで酷い目に遭った際も一切感情を表に出すことなく逝く感じも最後までなに考えてるかわからない感じが怖くて、うーんいいなぁ。

あと、セリフもいちいちカッコいい!!

「この街での法律は女たち」とか「年寄りは死に、若い娘は生き続ける、いい取り引きだ」とか「死者の魂を運ぶという神話の乙女ワルキューレは俺の隣で笑い、叫びながら、殺戮の喜びに浸っていた。」とか多分生きてきて一生言わないような、ハードボイルドすぎる言い回しの数々がもう心地良すぎる。

という感じでさすがフランク・ミラーこだわりの一作という感じで、残念ながら続編は大コケしてしまったらしいんだけど、この一作だけでも最高にcoolでとにかくかっちょいい愛すべき漢たちの作品でした!!
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