うにたべたい

ウルトラセブンのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ウルトラセブン(1968年製作の映画)
3.2
モロボシ・ダンの名を借りて、はるかな星からやってきた、われらがヒーロー!ミラクルマンのナンバーを名前につけたウルトラセブンの劇場版作品。
1968年東映まんがまつり(東映まんがパレード)で上映されました。
上映時の東映まんがまつりはDVD化されおり、本作は"復刻!東映まんがまつり 1968年夏"に収録されています。

内容は第18話『空間X脱出』のブローアップです。
空からの降下訓練中のウルトラ警備隊だったが、最後に飛び降りたアマギとソガが行方不明になってしまう。
アマギとソガは不思議な森の中に迷い込んでおり外と連絡が取れず、またその森には吸血する巨大なダニや吸血植物、クモ形の怪獣クモンガなどが蔓延っていた。
ウルトラ警備隊は少しの間つながったアマギとソガのビデオシーバーの発生源をたどり、そこがベル星人の作った擬似空間だとつきとめる、というストーリーです。

ベル星人という巨大な宇宙人が登場するのですが、言葉を発さず、擬似空間にじっと立っている不気味な宇宙人です。
セブンにはよくあることなのですが、なぜアマギとソガが擬似空間に入り込んでしまったのか、"ベル星人"なる宇宙人は一体だけなのか、そもそもベル星人の目的がなんのかさえも不明のまま終わります。
登場するグモンガもベル星人も地味で、現在、知名度もそんなに高くないんじゃないかと思います。
18話より前の作品でも、エレキングとか、メトロン星人とか、前後編ですがキングジョーとか、名作があるのですが、そんな中で劇場版はなぜかベル星人なんですよね。
スフラン的なものが登場したり、森の中だったり怪獣が(一応)複数登場するのが、ウルトラマンでいうところの怪獣島っぽいので、劇場版にしたときに子どもたちが喜ぶ、と考えたのでしょうか。
ただ、ベル星人はバトルも地味なので、子どもたちも「セブンがんばれ~!」とはならないだろうなと思いました。

ただ、ベル星人の造形自体は素晴らしいです。
特徴的な形の頭部に背中の不気味な甲羅、意図は不明でしたが、バルタン星人のような分身の術も使うシーンもあります。
ベル星人は、本編を見ていても地味な話なので頭に残らなかったのですが、あまり見返すことのないベル星人回を改めてちゃんと見る機会を得たので、個人的には再発見的なところで楽しめたかなと思います。