台風の接近とともに言いようのない思春期特有の感情の高ぶり、心の揺れ、肉体の衝動により騒乱状態に陥る中学生たちの姿を瑞々しく描いた青春(思春期)映画の傑作。
相米慎二のベストといってよい。
ベルナルド・ベルトルッチ監督がこの作品を観賞しながら、自分も新たな映画を撮りたいと語ったとの逸話も有名。
(1985)
東京近郊のある地方都市。
台風が接近しても家に帰らない中学生の男女数名が、一晩校舎に閉じ込められてしまう…。
~主な登場人物(役者)~
・三上恭一(三上祐一):野球部。優等生。理恵の恋人。思索(哲学)的で、最後にある行動をとる。
・清水健(紅林茂):野球部。美智子を好きだが、背中に何かを入れ大火傷を負わせる。時々パラノイア風の行動が見られる。
・山田明(松永敏行):学校のプールに忍び込んで泳いでいる。
・高見理恵(工藤夕貴):三上を好き。台風が来ることを期待。あるシーンでママと洩らし、家出をする。
・大町美智子(大西結花):優等生で潔癖症。三上を好きだが、嫌いな健と夕方教室でふたりっきりになってしまう。
・宮田泰子(会沢朋子):演劇部。由利と同性愛的関係。演劇部女子3人組のリーダー。
・毛利由利(天童龍子):演劇部。祖母が死にそうで気にしている。
・森崎みどり(渕崎ゆり子):演劇部。梅宮に同情的。
・梅宮安(三浦友和):三上のクラス担任。若き日の理想を失った大人。
・小林(尾美としのり):大学生。台風の日に東京にやって来た理恵をナンパし、自分のアパートに連れ込む。
「あ〜あ、台風来ないかなぁ」
「個は死を超越できるのだろうか?死は個の種に対する勝利って聞いたけど」
「ただいま お帰り お帰りなさい…」
「あたし、嫌なんです。閉じ込められるの」
「ぼくはあなたを認めない。
15年もたてばおまえだって今の俺になるんだ。おまえもあと15年の命なんだ」
「もしもあしたが 晴れならば 愛する人よ あの場所で
もしもあした日が 雨ならば 愛する人よ そばにいて…」
「つまり、死は生に先行するんだ。死は生きることの前提なんだ。オレたちには、厳粛に生きるための厳粛な死が与えられていない」
「とってもきれい。まるで金閣寺みたい」