一人旅

シュア・シングの一人旅のレビュー・感想・評価

シュア・シング(1985年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ロブ・ライナー監督作。

カリフォルニアを目指して嫌々ながら一緒に旅することになった男子学生ギブソンと女子学生アリソンの恋の行方を描いた青春ドラマ。
ギブソンはとにかく女とヤることに全エネルギーを注ぎ込む若者。愛うんぬんよりも、後腐れなくその場限りのセックスを楽しみたいタイプ。勉強もろくにせず、自堕落な学生生活を送っている。ルームメイトが部屋に女を連れ込んでお楽しみの間、ひとり外で黙々と飯を食うギブソンの姿が面白い。一方のアリソンはギブソンとは対照的に超がつくほど真面目な性格の女の子。決められた予定通りに行動するのが大好きで、シャワーやテレビを見る時間までスケジュールに書き込んでいる。
対照的な性格の二人は犬猿の仲。だが、偶然にも同じ相乗り自動車に乗ってしまい、カリフォルニアに到着するまで四六時中行動をともにすることになる。
恋人でも何でもないのにモーテルに一緒に泊まってしまう場面が面白い。アリソンが寝るベッドに何気なく潜り込むギブソン。“ちょっと!何してるの!?”とアリソン。“別に。俺のベッドにたまたま人がいただけさ”とギブソン。恋人同士ではないからこそ、二人の表情や会話には機微が含まれていて面白いのだ。
また、本作は若者の変化もテーマにしている。両極端な性格のギブソンとアリソンはお互いに相手の“いいところ”を少しずつ取り入れていくのだ。
そして、ロードムービー的要素も本作の魅力だ。アメリカの広大な原野をどこまでも続く一本道が走る光景の解放感。昼間の明るい風景とは対照的に、ネオン煌めく夜のロードサイドはイメージ通りのザ・アメリカという感じで限りなく雰囲気がいい。道中出会う人々との一期一会のささやかな交流も旅感がある。自暴自棄になったギブソンが立ち寄った酒場で、見ず知らずの地元じいさんたちとクリスマスソングを歌うシーンなんかちょっぴり感動的だ。
デビューして間もない頃のジョン・キューザックがギブソン役を好演。ヒロイン以上に肌がつやつやしてて初々しい(演技は抜群!)。ティム・ロビンスも物語を動かす役割で少し出演している。こちらも驚くほど若々しい。
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