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マイ・ボディガードのsukekoooのレビュー・感想・評価

マイ・ボディガード(2004年製作の映画)
4.2
作品の舞台はメキシコ。心に傷を負った男・クリーシー(デンゼル・ワシントン)は、友人の紹介でピタ・ラモス(ダコタ・ファニング)のボディーガードとして雇われる。アルコール依存から抜け出せず、心を閉ざしていたクリシーであるが、ピタとの交流で彼自身に少しずつ変化が起きていく。
CDで例えるなら、ここまでがA面。
ピタのピアノレッスンの帰り道、クリーシーが以前から不審に思っていた車を見つけ、銃撃戦が始まる。「run!」と言われ、走るピタであるが、撃たれたクリーシーが気になって引き返してしまう。意識が朦朧としているクリーシーに声をかけている最中、複数の誘拐犯に捕らえられてしまう。
ここから話の展開は一気に変わり、B面の始まり。
心底怒りを覚えたクリーシーは、負った怪我の回復を待つ前に復讐劇を始める。BGMもがらりと変わり、容赦なく犯人たちを追い詰め、拷問し殺していく。前半のキャラクターとは思えないほどの手際の良さで復讐を進めていき、真相に辿り着く。
殺されていく犯人たちを見ながら、タイトルは邦題じゃなくて、「man on fire」の方が絶対に良かったはずだと断言できる。マイ・ボディーガードはピタから見たクリーシーであり、彼の全てを覆いつくせるものではない。
監督の作風なのか、緊張が走るシーンになるとカメラをズームするショットにはあまり目が慣れなかった。画面を多重にして演出するのもトニー・スコットらしさなのだろうか。
ピタがクリーシーに、「笑った、10秒前に笑った」「いや、笑ってない」と心を通わすシーンほど印象に残るものはないんじゃないか、むしろこのシーンを映画に入れるなんて、後に起こることを考えると酷すぎやしないか…と思うほど感動してしまった。2018年の皮切りには相応しい作品である。
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