OASIS

キング 罪の王のOASISのレビュー・感想・評価

キング 罪の王(2005年製作の映画)
2.8
海軍を除隊したばかりの男エルヴィスが、亡き母親から聞かされていた父親デヴィッドに会うためテキサス南部の街を訪れる。
しかし、牧師となり家族と幸せに暮らす父はエルヴィスを家族の一員として認めようとせず...。

ガエル・ガルシア・ベルナル主演のサスペンス。
望まずして授かった「罪の子」としてのエルヴィスの産まれた境遇については同情してしまう面もある。
娘に近付き身体を重ね、息子や母親に取り入って家族の繋がりに混ざり込んで行く彼は何を考えているのか分からず異質な存在であった。

単純に真っ向から父への復讐を敢行するのでは無く、まずは息子から、そして十分に自分を信じ込ませた段階でようやく娘を突き放す、というようにジワジワと外堀から埋めて行くスタイルは得体の知れない怖さがある。

息子を刺し殺すシーンや、その後父親が死んだ息子について教会で語るシーンでも彼は無表情で逡巡する素振りを見せず、その鉄仮面の裏で一体何を考えながら説教を聞いているのだろうかと思わせた。

息子が父親の影響により異常なまでの信仰心でもって周囲を洗脳しようとする存在であったり、それを演じているのがポール・ダノだったりと何処と無く「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を思い出す映画だった。
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