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他人の顔のTSのレビュー・感想・評価

他人の顔(1966年製作の映画)
3.4
【仮面をかぶり再び社会へ】74点
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監督:勅使河原宏
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:122分
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事故で顔面に怪我を負ってしまった男が、科学技術の力を借りて別の男の顔を借りて人生をやり直すという話。顔が人に与える影響がどれほどなのかを再確認させてくれる作品でもありました。

ある男は、液体空気の爆発事故により見るも無残な顔になってしまう。顔全体に包帯を巻くようになった彼は、妻や周りの者たちとの距離を感じるようになってきたのだが。。

人を判断するときに必要なものとは何でしょうか。名前、声、顔。。その中でも顔は極めて重要な要素になってきます。我々も人を覚える際、顔と名前をまずは覚えますが、顔がわからなければ誰のことなのかさっぱりわからないです。冒頭、包帯の男は女に何故自分だとわかる?と問い、女は声が一緒だからです。というが、顔が見えていないのでそれは本当なのか?と再び問うシーンが印象的でした。一時的に声マネはできますが顔マネは難しい。したとしてもネタレベルであり、すぐにバレてしまうでしょう。

そんなことで、最愛の妻からも見放される彼でしたが、ひょんなことから全く別の男の顔の仮面をかぶることができ、社会に復帰していきます。そして面白いことに、全く別の顔で、最愛の妻に接近していき想いを寄せてもらうようにアプローチしていきます。
やはり人間は顔が重要。そしてさらに面白いことに、人間というのは人とコミュニケーションをするときに何かしらの仮面をかぶっていることも重要です。まさか、就職面接の時に、家の時の素顔を見せるわけもあるまい。好意を抱く異性には気に入られようと自分以外の「何者」かの仮面を被ります。今作のこの男が最愛の妻に接近した時は、リアル仮面をかぶっているのですが応対も今までと違う。結局のところ、人間は顔に仮面をかぶせながら心にも仮面をかぶせてしまっているという由々しき動物なのです。ラストの仮面軍団が往来するシーンはそれを静かに物語っている気がしました。
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