よしまる

病院坂の首縊りの家のよしまるのレビュー・感想・評価

病院坂の首縊りの家(1979年製作の映画)
3.8
 フィルマめっさ久しぶり!と思ってたのに、たったの2週間しか空いてなくてビックリ。

 ここ10年くらいで最高にメンタルやられる出来事があって、かなりのダメージを背負いながら仕事に邁進することで平静を保っていたものの。映画がストレス解消の特効薬と信じていながら映画に逃げることで犠牲にしてしまっていたものもあったのだなぁと今さらながら深く自省する毎日。

 本末転倒にならないよう、あらためて毎日も映画も楽しんでいこう。

 で、すっかり月末になってしまったのでマンスリー、まずは金田一。

 市川崑×石坂浩二の5作目でとりあえず一区切り。冒頭、映画史に残る大根演技を披露する横溝正史。もうこの時点でハードボイルドとか本格ミステリなんてものとはおよそ縁遠いエンタメ作品です❗️と、原作者自らが堂々と謳い上げているようなもの。

 事実、本編もかなりコメディ色が強く、犬神家の頃のようなおどろおどろしい情念の渦や人の業といったテイストは、なりを潜めてしまっている。

 えー!だとか、なんと!みたいなオチでの場面転換が多く、5作目ともなると市川崑監督もノリノリで作ってるのかと思いきや、当初は石坂浩二がメガホンを取っていたらしい。明朝体を廃止したり、タイトルバックにジャズをもってきたりという新しさもそのせいなのかも。
 いずれにしてもマンネリ回避の点では悪くはない変更だった。

 本作の目玉はなんと言っても桜田淳子。個人的に中3トリオの中では歌唱力もルックスもダントツ1位(異論は認める)と思っていて、女優としても百恵以上の評価を得ている。脚本のせいもあり少々リアリティに欠けるセリフも多いけれど、旬のアイドルとは思えない好演ぶりで、二役も違和感なくこなしている。

 今回は比較的わかりやすいプロットで、途中、草刈正雄が相関図で説明してくれるのが超親切。彼の活躍するスピンオフも見てみたいくらいで、常連の加藤武や大滝秀治らに加え、妙に色っぽい萩尾みどり、初々しいピーター、清水リーケフレン綋治ら新規参戦組も誰もがキャラ立ちしておりバランスも良かった。

 関係ないけれど、8月はアマプラで「あしたのジョー2」をずっと観ていたので、兄役のあおい輝彦が全部ジョーに聞こえてしまって困ったよ笑

 お話はそんなに深いものではなかったけれど、これまでのフォーマットを生かしつつ新しいイメージも放り込み完成度は高かったし、男尊女卑の社会を痛烈に抉る中で、石坂、加藤、小林など死なない男たちは皆どこまでも女性に優しいのが映画としての心地よさを与えてくれていたのがとても良かった。

 これにてlarabeeさんとの企画は5作まで終了いたしましたが、ボクはマンスリー金田一を継続します😅

 西田敏行、鹿賀丈史、渥美清、古谷一行、まだまだ金田一の旅は続く……笑