このレビューはネタバレを含みます
前作のカラー版牧歌的コメディから一転してモノクロの現代風刺劇へ。再軍備という時代背景からラストは軍艦マーチの響きの中に爆撃機が爆弾を落とすような不穏な音が鳴り響く。カルメン何処へ。カルメン頑張れの文字が出て終。暗い時代の幕開きにカルメンは生き残れるのかと問うているようだ。初見時はあの「東京物語」の東山千栄子が「原爆ばあさん」などと呼ばれるおかしな言動をする女中役で出ていたことに驚いたが、今回見てもやはり異様な迫力がある。カメラを斜めに構えても現代アートを斜めに見て笑いものにしても面白くもおかしくもないのは監督の資質がコメディに向かないからではないか。