実はプーシキンの『太尉の娘』は1947年にマーリオ・カメリーニが同じタイトルで監督している。制作はやはりデ・ラウレンティイースで、そのときにブガチョフを演じたのはアメデオ・ナッザーリ。マーシャはイラセマ・ディリアン。デ・シーカの『テレーザ・ヴェネルディ』(1941)では白い電話の金持ちの娘リッリ、『Maddalena... zero in condotta』 (1940)ではカルラ・デル・ポッジョの相手役だったっけ。そして、敵役のシヴァーヴリンを演じたのがヴィットリオ・ガズマン。
だってラストシーンもかっこいいんだよね。死刑台に向かうブガチョフがピョートルとマーシャに言う。妻をまもってやれ。長生きしろよ。そして覚えておくんだ。そう言ってこんなセリフを残す。「un mantello e un sorso di vodka non sono solo un mantello e un sorso di vodka, ma il principio. 」(コート1着とウォッカ一1杯はたんなるコートとウォッカではなく、プリンチピオなのだ)。