殺人シーンが少ない反面、実の娘であるアーシア・アルジェントをあらゆる方法で痛めつける、ダリオ・アルジェントの変態性が全開のサイコスリラー。冒頭の長髪アーシアは儚い雰囲気で全く優秀な警官に見えないけど、中盤の短髪アーシアはサディスティックな雰囲気、終盤の金髪アーシアは捉えどころのない狂気が垣間見えて、一粒で3度おいしい。特にクライマックス、発狂したアーシアがぶつぶつ呟きながら夜のローマをウロウロするシーンからの、男性警官に囲まれ抱きかかえられエンドロール、という流れは秀逸だった。サスペンスとしては全くもって物足りないけど、ウフィツィ美術館を始めとした美術館、絵画の撮り方はやっぱり最高。謎のCG（薬を飲みこむシーンと娼婦の顔を銃弾が貫くシーン、あとレンブラントの夜警が溶けるシーン）は笑える。
