ホーガン

スタンダール・シンドロームのホーガンのレビュー・感想・評価

3.2
敬愛すべきダリオ・アルジェントの過去作から順番に再鑑賞、レビューしてみようのコーナー。その第11弾。

前作「トラウマ 鮮血の叫び」に引き続いて愛娘アーシア・アルジェントを起用している。ほぼ最初から殺人者が顔見せしており、後半は狂気をテーマとしたサイコスリラーとなる。ダリオ作品の中でも異色作と言える。
本国イタリアでは「セブン」を上回る大ヒットとなったようだけど、後半のミステリー要素や真犯人に驚きは無く、作品としてのクオリティは「セブン」に遠く及ばない。

ダリオ作品では「歓びの毒牙」、「サスペリアPART2」など度々アート作品が物語の鍵となってきたが、本作では絵画に吸い込まれるような症状を見せるスタンダール・シンドロームが題材として使われている。しかし、物語の中では効果的に使われていないのが残念。

カメラワークも音楽(久しぶりのエンニオ・モリコーネ)も普通でダリオらしさはあまりなく、前半でアーシアをとことん痛め付け、後半でアーシアの狂気を見せる。アーシアの一人舞台、アーシアのための作品と言える。アーシアが最初から最後まで優秀な刑事には見えないところも残念ポイントであろう。なお、唯一、新し物好きのダリオがCGを劇中で使用している。1996年公開の作品だけど、イタリア映画では初らしい。しかし、使用しているのが薬を飲んで食道を薬が落ちるシーンで、薬も毒というわけでもなく、どうでも良いシーンというのもダリオらしい。(後に3D映画にも手を出すダリオw)
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