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オアシスのNのレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
4.6
確かにジョンドゥは犯罪者で、人間として足りない部分も沢山ある。自分ももし彼の家族の1人だったら到底理解できないだろう。
それでも、そうだとしてもコンジュにとってはたった1人の理解者だった。悪でも見方を変えれば善になる。こういう作品をみると善と悪って曖昧でとても難しいと感じてしまうな。

一見すると、コンジュをジョンドゥが救うというステレオタイプのラブストーリーではあるのにどうしてこうも愛おしいのか。
それってこの物語が美しいだけじゃないからなのだと思う。そして救われるコンジュもただただ待ったりと受け身ではない”姫”だからなのかもしれない。
檻であったあの一室をオアシスに変えていく様。ジョンドゥが変えていく部分は大きいと思うけれど、コンジュが自分から電話をかけたり、行動をしたからオアシスになったわけで。あれは2人で作り出したオアシスなのだろう。

全体を通してジョンドゥだけに焦点を当てるのではなくコンジュの理想だったり想像だったりを汲み取って映し出す優しさにもグッときた。境界線の曖昧な理想と現実の組み込み方。ムンソリの美しすぎる演技。凄いな。

あと、見方が変わるだけでこうも180°世界が変わってしまうんだからやっぱり決めつけや潜在的意識って怖い。
最後のシーン、終わってほしくないと思うほどに美しかったし、白を纏うコンジュの希望も切なかった。彼らにとってあの部屋が変わらずオアシスであって欲しい。
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