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秘録・太平洋戦争全史のmhのレビュー・感想・評価

秘録・太平洋戦争全史(1975年製作の映画)
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太平洋戦争関連のニュース映像を集めたドキュメンタリー。
4年間を簡潔にまとめているので、全体の流れを把握するのにもってこい。反面ちょっと物足らない。
第1章・怒涛の章
真珠湾奇襲/マレー半島上陸/バターン、コレヒドール攻略戦/空の神兵落下傘部隊の活躍/印度洋作戦/珊瑚海海戦/東京初空襲/ミッドウェー海戦
第2章・悲風の章
ガダルカナルの悲劇/ソロモン海の決戦/ラバウル航空決戦/アッツ島の日本軍玉砕/キスカ守備隊奇跡的な徹退成功/学徒出陣/ジャングルの苦闘が続くニューギニア戦線/マキン・タラワの玉砕/インパールの悲劇/マリアナ海戦・サイパン玉砕
第3章・落日の章
ペリリュー島玉砕/比島沖海戦/ルソン島決戦/地獄の硫黄島/沖縄決戦/本土上空の戦/終戦
ググるとこんな章立てになっているけど本編には出てこなかったんじゃないかな。キスカ島のくだりまであるのは驚いた。上に書かれないけど、東京ローズのくだりもあった。
そういえば「カミカゼ」という言葉が登場しなかった。「自殺攻撃」「斬り込み」といっていた。1975年の段階で特攻隊がらみのエンタメ映画はいくつか作られているけど、「特攻隊(特別攻撃隊)」というワードのほうがより多く使われている。
そうそうフィリピン戦における陸軍の特別攻撃隊についてもやってくれたのは収穫だった。(フィリピン戦は神風特別攻撃隊の初陣なので、陸軍側の特攻が目立たない)
戦争映画をけっこう見てるので、同じ映像を使っている映画をいくつか思い出せたけど、全体として、レア度の高い映像が多かったように思う。
レイテ戦における栗田艦隊の反転をターニングポイントとして挙げていたけど、ミッドウェー海戦の南雲中将についてはノータッチで、むしろ南雲中将は持ち上げ気味だった。牟田口の愚将っぷりもなかった。いっぽうで、山下奉文の扱いがひときわ高かった。このあたりに、時代によって移ろう戦争像が垣間見られる。
制作したのは映画ニュースを作り続けていた日本映画新社(前身は国策映画でおなじみの「日本映画社」)。配給は東宝。
同じ座組で「太平洋戦史(1958年7月29日公開)」というドキュメンタリーもあるようだけど、そちらは視聴困難。
松竹が配給した戦争ドキュメンタリー「太平洋戦争史 世紀の爪跡」は1967年2月4日とのこと。
こういうのを何年かおきに作っていたんだね。
スタッフロールが十名にも満たないのは素直にすごい。
悲壮感もなく、かといって、自虐的でもないふしぎなドキュメンタリーでした。
mh

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