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百万円と苦虫女のmichiのレビュー・感想・評価

百万円と苦虫女(2008年製作の映画)
4.0
海から山へと、なんとも優雅なロードムービー。こんな生き方出来る人が多ければ派遣切りなんて悲壮になるばかりじゃないのかも。強さを感じる放浪に見えたが一方で、行く場所ごとにかかわる人たち全てに対して打ち解けず逃げるように移動する。中学受験を控えた弟がいて、話題転換に合わせて彼への手紙が読まれる。繰り返されるのは弟のいじめられるシーン。ここでも強い姉、弱い弟像だ。

やがて逆転したこの関係を了解し、驚愕する主人公と共にクライマックスへと向かう。特別悪い人の出てこないドラマなのに、やるせなさ、切なさを覚えるのは、主人公の旅がコミュニケーションのあり方をリアルにあぶり出しているからか。ロードムービーは環境の変化を描き、そこへ主人公の成長を被らせる。関わる人たちは環境であって心は風景と同じようにそれらへリアクションを取り続け変化していく。
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