リプリー

8人の女たちのリプリーのレビュー・感想・評価

8人の女たち(2002年製作の映画)
5.0
もはや不動のオールタイム・ベストでこれが何度目か分からないくらい見返しているので、今さら感想も書けないというのが正直な所なのだが、今回久しぶりに見返して改めて。
まず、いわゆるアガサ・クリスティ風ミステリーとして無類に面白い!ということは言っておきたい。
オチを分かってみるとこの場面にあの人のリアクションは薄い(アップでは映さない)など結構フェアなつくりなのも感心させられる(初歩的な事だが意外と出来ていない作品も多い気がする)。

あとは衣装、美術の美しさ。それぞれの色がキャラクターを象徴しており、家の大半を支配している色が実は何気にあの人の色とリンクしていて…なんて考えると結構面白い。
結構モロなセットなのだがチープになることなくむしろ寓話性を高めていて、そして何より美しくて物語に入り込んでいまう。外に降りしきる雪は何と紙吹雪とのこと。たかが紙吹雪も雪に見えるなんてまさに映画のマジックではないだろうか。

8人の女たちの心情を吐露するミュージックシーンも良いのはいわずもがな。

誰が見ても驚くほどの超豪華キャストだが、メイキングを見ると監督と大御所女優が演出についてあーだこーだと言っているシーンがあって、撮影はさぞかし大変だっただろうな…と苦労が忍ばれる。

スイミングプールで妖艶な演技をしていたサニエ嬢は、今回はほとんど子どもといっていい雰囲気で色気はゼロ。
でも本作より「焼け石に水」の方が撮影が前、という不思議。あっちのほうがよほど色っぽいのに…。
なんで、僕は本作を初めて見た10代のときはそれこそヴィルジニールドワイヤン演じるシュゾンに夢中になったものだ。もちろん、エマニュエルヴェアール演じるルイーズも捨てがたい魅力に溢れているけども。