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バニシング・ポイントのYYamadaのレビュー・感想・評価

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)
3.7
【ロードムービーのススメ】
   ~旅を通じて人生を紡ぐ~

◆旅の目的
 車の陸送、警察からの逃避
◆旅の工程
 デンバー→カリフォルニア州内

〈見処〉
①爽快!70'sニューシネマの佳作
・『バニシング・ポイント』は、1971年に公開された、リチャード・C・サラフィアン監督によるカーアクション映画。
・舞台は1970年代のアメリカ。新車の陸送を生業とするコワルスキーは「白の1970年型ダッジ・チャレンジャー」で、翌日の午後3時まで、計15時間でコロラド州デンバーからサンフランシスコまで到着させるという賭けを行う。
・旅中にスピード違反による警察の停止要請を無視し、振り切ったことを地方ラジオ局の盲目の黒人DJ・スーパー・ソウルに放送され、共感するものたちの輪が広がっていく。
・威信にかけてコワルスキーを止めようと検問をひく警察に対して、コワルスキーは自らの消失点(バニシング・ポイント)に向かうかのように、アクセルを踏み続ける…
・本作は、今から約50年前にわずか1.3百万ドルで製作されたB級作品であるが、早いコマ割りに、並走、望遠、空撮など、爽快感のある編集は、いま見ても新鮮で古くささを感じない。
・また、ヒッピー文化、黒人に対する暴動、60-70śのロック・ブルースミュージックなど、当時の社会情勢が垣間見れる。
・1960年代後半から1970年代半ばにかけて製作された反体制的な心情を綴った映画作品群「アメリカンニューシネマ」の代表的な作品の一つである。

②マッスルカー
・本作に登場する「白の1970年型ダッジ・チャレンジャー」は、1960年代後半-1970年代にアメリカで製造されたハイパフォーマンスな「マッスルカー」の代表車の一つ。
・名車の誉れの高い、1970年型ダッジ・チャレンジャーは、2007年のタランティーノ監督作『デス・プルーフ in グラインドハウス』の後半部にて、ゾーイ・ベルが試乗しカーチェイスを繰り広げた中古車と同じ車種である。
・なお、『バニシング・ポイント』撮影時には、車体の弱いチャレンジャーを8台も費やすことになったそうだ。

③結び…本作の見処は?
○: 迫力あるカーアクション・シーンは、いま見ても新鮮、爽快感あり。
○: とにかく音楽が良い。良い音楽は時代を問わない。
○: 当時の反体制の社会情勢が垣間見れる。
▲: ストーリーやメッセージ性はない。
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