mimocyan

バニシング・ポイントのmimocyanのレビュー・感想・評価

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)
3.8
「あらゆる武器が、これを操る者の身体の外延を成すとするなら(中略)弾丸とは、 速度と慣性質量の合成エネルギーと化して、他者へ撃ち込まれる意志に他ならない」
思わず、某作品のこんなセンテンスを思い出してしまった。これの車版といった感じ。

ひとつの賭け(それもただのお遊びな)がきっかけで、コロラドからカリフォルニアを激走していく白のダッチ・チャレンジャー。
その走り続けていく様を、警察とのカーチェイスを交えつつ追っていくだけなのですが、その得体の知れない意思がまさに弾丸のよう。
不規則に並ぶ過去の回想が説明的じゃないのも良いですね。根底に抱く鬱屈さを振りきるかのような疾走には、かっこよさはもちろん言い様のない寂寞なものも混じる。
こういう簡潔で、無駄なものをまとわない姿に弱いんです。

ロケーションが広大すぎて、アメリカってやっぱでかいって、そこにも圧倒される。
日本じゃ到底撮れないだろうなぁ。
mimocyan

mimocyan