コーカサス

バニシング・ポイントのコーカサスのレビュー・感想・評価

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)
4.2
1970年型の白のダッジ・チャレンジャーを操り、ただひたすら“バニシング・ポイント”(消失点)へと向かい走り続ける彼の“スピード”は、権力への反抗だ。

車の陸送を引き受けたコワルスキー(ニューマン)は、予定の3日間を15時間で届ける賭けをする。
なぜ彼はデンバーからサンフランシスコまで2000km以上もある道のりを、わずか15時間で届けようと決めたのか。
執拗に追ってくる白バイやパトカーを時速 200キロで振り切るその理由は、社会や権力、さらには自身の運命への反抗だったに違いない。

やがて若者や弱者の代弁者となり、最期まで権力に屈せず抵抗し続けた彼の勇姿はまさに時代の象徴で、それはあたかもベトナム戦争後に訪れる “悩めるアメリカ” そのものだ。

タランティーノ監督作『デス・プルーフ in グラインドハウス』でも充分過ぎるほど語られた本作は、紛れもなくアメリカン・ニューシネマ後期の傑作と云えるだろう。

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