三隅炎雄

決着(おとしまえ)の三隅炎雄のネタバレレビュー・内容・結末

決着(おとしまえ)(1967年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

『決着』『続 決着』を続けて見た。決着と書いておとしまえと読む。任侠映画正統派キャラの兄貴分吉田輝雄と半人前な弟分梅宮辰夫の組み合わせ。
梅宮が任侠映画の批評として配置されているかと言うとどうもよくわからない。ドライなのかウェットなのか、武闘派なのかヘタレなのか、不真面目なのか真面目なのか、場面場面で梅宮の性格が行き当たりばったりに違って、その不定形な面白さが狙われているのかと言うとそうでもないようだ。しかも梅宮がどうあろうと、兄貴分の吉田は一切揺るがず正しい任侠道の人のままなので、梅宮の存在価値が薄く、物語が弾まない。
ただ、両作とも殴り込みで吉田を喪った梅宮が臆面もなく泣きじゃくる姿で終わるのは興味深い。1作目では吉田の遺体に恋人のように突如頬ずりして、2作目では「俺一人でどうして生きていけばいいんだよ」と叫んでおいおいと泣く。主人公のおよそ任侠映画らしくない「女々しい」「みっともない」姿で映画が閉じるのはとても変わっている。そこに石井輝男の任侠映画に対する批評精神を感じる。
三隅炎雄

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