アラカン親分の叫びからはじまるオープニングはテンションが高くて期待するが(石井輝男監督作品はオープニングで通常なら山場に持ってくる熱のあるシーンを披露してお客を盛り上げるのが常套手段)、あとは通常の任侠映画のパターン通りの展開を適当にこなしている感じなので飽きてくる。
正義の組のリーダーであるアラカンが今後のことを考えての選択があまりにも最悪(それをやると今まで彼らに守られてきた浅草は自分のことを見放したように思えるし、変な奴が浅草の興行に取り入ることになるのでは)でちょっとひいてしまったが、それに加えて色んな個性の侠客が出てきてしまったため主役の梅宮辰夫がただでさえ硬派なやくざという慣れていない役柄を演じているので霞んでしまいお話が分散してしまっている印象なのもマイナス。悪いやくざに雇われた殺し屋丹波哲郎の美味しいところをかっさらっていく飄々としたキャラクターは面白いけれど石井作品ではよく見るキャラで新味はないしお話に全然要らなかったりする。
でもそんな映画でも吉田輝雄演じる梅宮の兄貴分のやくざのかっこよさが光り作品の魅力を三割増しにしている、監督も見せ場での出番といいどうみても吉田を主役にして撮っているとしか思えない。
ラストの唐突なブロマンスにビックリ。